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【　豆　知　識　】

測量遺産について

富士山が世界遺産となり話題となっていますが、他国には『測量』に関するもので世界遺産に登録されているものがあるのでご紹介します。

『シュトルーヴェの測地弧』

これはドイツ出身のロシアの天文学者フリードリヒ･フォン･シュトルーヴェが中心となって、1816年から1855年に掛けてノルウェー、スウェーデンなど10か国にまたがる正確な子午線の長さを測るために設置された三角点群です。
調査した子午線の長さが非常に正確であると同時に、異なる国々の天文学者が協同で作業を行って、地球科学史上の発展のための重要なステップを成し遂げたものとして、測地学史上、重要な功績と言われています。その功績とその後の測地学に大きな功績と影響をもたらしたことが評価され、調査当時に設置された265か所の測量点のうち34か所が、2005年にユネスコの世界遺産として登録されました。
10か国にまたがって世界遺産登録がなされるのは非常に珍しい例です。
http://www.w-heritage-norway.info/struve/

国内にも「測量遺産」と呼ばれる、文化財に指定されている測量に関する建造物および測量標がありますので、それらもいくつか紹介してみましょう。

1.日本経緯度原点（東京都港区）
−港区指定文化財（平成8年10月22日指定）−

明治の初年に海軍観象台の子午環が設置された地点の中心で、日本で初めて天文学的に経緯度が測られた点であり、その後は長く東京天文台が位置した場所です。
子午環は戦災にあい焼失しましたが、その地点は原点として現在も保管されています。
http://www.gsi.go.jp/kanto/ki8cgenten.html

2.堀江水準標石（千葉県浦安市）
−土木学会選奨土木遺産（平成19年12月10日指定）−

明治5年、江戸川・利根川でオランダ人技師リンドが行った水準測量において設置されたものです。「日本の河川測量の原点」とされる飯沼水準原標石とともに設置された日本最古の水準標石です。
リンドは測量の結果、この標石の頂点の高さを基準として江戸川河口の水位のゼロ点の高さをY.P.(YedogawaPeil、江戸川工事用基準面)としました。Y.P.は、130年以上経った現在も両河川の水位の基準となっています。
http://www.gsi.go.jp/WNEW/koohou/475-5.htm

3.日本水準原点標庫（東京都千代田区）
−東京都指定有形文化財(建造物)（平成8年3月18日指定）−

明治17年、全国に共通した基準で一等水準測量が開始され、この標高を決める基準点として明治24年5月に水準原点が創設されました。この原点は現存しており、今なお日本全国の標高の基準となっています。
この水準原点である水晶板の零目盛の原点標を保護するための建物が、「日本水準原点標庫」です。日本最初の建築家と言われる佐立七次郎らの作品で、ローマ神殿の形式を持つ本格的な古典主義建築です。
http://www.gsi.go.jp/kanto/ki8bsuigenten.html

4.相模野基線北端点（神奈川県相模原市）
−相模原市指定史跡（平成13年4月1日指定）−
http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kyouiku/bunkazai/list/21983/006233.html

5.内務省地理寮水準点（高低几号標）（横浜市南区）
−横浜市地域文化財史跡（平成10年11月9日指定）−
http://www7.ocn.ne.jp/~hachiman/bunkazai.html

6.開拓使三角測量勇払(ゆうふつ)基点（北海道苫小牧市）
−北海道指定文化財史跡（昭和42年3月17日指定）−
http://ouendaichi20092.web.fc2.com/douou/dououhtml/sankaku.html

7.開拓使三角測量一本木基点（北海道北斗市）
−北海道指定史跡(平成16年9月22日指定)−
http://www.city.hokuto.hokkaido.jp/bunkazai/data/bunkazai/3.htm

8.観象台（栃木県那須塩原市）
−那須塩原市指定文化財（昭和47年12月1日指定）−
http://www.city.nasushiobara.lg.jp/bunkazai/2731/001679.html

興味のある史跡はありましたか？
日々の進化で忘れつつあるかもしれませんが、たまには逆戻りをして先人たちの思考や技術に触れてみるのもいいかもしれませんね。